介護施設の経理担当者にとって、分かりにくい仕訳の一つが介護報酬の計上と思われます。
ここでは、介護報酬の中身とあるべき計上方法、加えて経営を助ける債権管理の方法までご紹介したいと思います。
1.介護報酬とは
介護報酬(かいごほうしゅう)とは、介護保険が適用される介護サービスにおいて、そのサービスを提供した事業所・施設に対価として支払われる報酬であるとされており、原則として報酬の1割は利用者が負担し、9割は保険者である市町村に請求し、介護保険から支払われます。
つまり、介護施設の経理担当者は、介護報酬も売上として認識して計上しなければなりません。
2.介護報酬の計上
2-1.介護報酬の計上イメージ
介護施設が発生主義で計上する方針を取っていた場合は、介護報酬が発生する月に
(そして入金があった月に)
預金 〇〇円/売掛金(もしくは未収入金) 〇〇円
現金主義で計上する方針を取っていた場合は、入金があった際に
発生主義と現金主義の違いがよく分からない方はしたページにまとめていますのでご参考にしていただけますと幸いです。
2-2.介護報酬の計上時の注意点
上記でご紹介した内容で基本的には問題ありませんが、介護報酬の計上時には以下の注意点があります。
それは、介護報酬には返戻金がある事です。
つまり、例えば介護報酬で100,000円入金(売上)を認識(予定)していたとしても、実際に入金を受けた際に80,000円しか振り込まれなかったと言うことがあります。
こうした場合、現金主義で経理をしていると、以下の様に実際に入金を受けた額を売上にすればいいだけになります。
しかしながら、発生主義の場合少しややこしくなります。
発生主義の場合、売り上げを計上したタイミングでは確定する介護報酬の入金額がわからないため、いったん自身で計算した額を売掛金と売上で計上します。
その後、入金を受け、介護報酬が確定した時に、売掛金を取り崩して、預金勘定に振り替えます。その際、事前に計算していた金額と差があれば、売上を戻す必要があります。
文字で書くとイメージし辛いので、以下に大まかな仕分けの流れを記載します。
売掛金(もしくは未収入金) 100,000 / 売上 100,000【介護報酬の入金時(介護報酬確定)】
預金 80,000 / 売掛金(もしくは未収入金) 80,000【売掛金の差額を調整するために】
売上 20,000 / 売掛金(もしくは未収入金) 20,000
とします。
これで売上額は80,000円となり、実際の入金により取り崩された残りの売掛金額の20,000も無くなるので、綺麗な状態に戻ります。
3.業務上のテクニック
上記の取り崩しや計上の方針は理解していても、実務上、介護報酬の入金がいつ計上した売掛金に相当する部分なのかの判定が難しいと思います。
そうした場合のおすすめの管理テクニックをご紹介します。
3-1.摘要に入金予定月を記載する
管理テクニックの1つして、摘要を使用する方法があります。
摘要の中に、これはいつ頃入金する予定の売掛金なのかを記載しておくことで、実際に入金を受けた際に、対応する仕訳が見つけやすくなります。
3-1.補助科目を売上計上月を記載する
毎月沢山の仕訳がある中、介護報酬の入金があった際に売上計上した対象の仕訳を探すのは大変ですよね。
しかも補助科目を使用していないと、売掛金が全て同じ箱の中に記載されるので、どれが残ってて、何が残ってないのかの管理がややこしくなります。
そんな時は、補助科目を売上計上月で分けておくと、会計システムの機能で補助科目別の残高が記載されるので、次に介護報酬の入金を受けた時に、まだ売掛金が残っているものが何なのかを、瞬時に発見できます。
(この際、注意しなければならないのが、預金/売掛金の仕訳をする先にも、売掛金の補助科目で対応するものを選択しなければならないので少し作業量は増えてしまう事になります)
まとめ
介護報酬は申請額と入金額にズレが生じるため、経理上の管理も少し大変になります。
それらをきっちり整理する事が求められるのが経理の役割です。
大変かとは思いますが、頑張ってください。