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介護の仕事をしているなかで、一度は「介護士を辞めたい」と思ったり、「介護士に向いてないのかな?」と思ったことがあるのではないでしょうか?
どの仕事をしていても「辞めたい」「向いていないのかも」と考えることはありますが、体力的にも精神的にも負担の大きい介護士には頻繁にあることなのです。
今回は、介護士に「向いている人がどういう人であるのか」を紹介したうえで、「悩んだときにどのように対処するべきなのか」も合わせて紹介します。
いつ頃から悩み始める?
まずは、介護士に向いてるか向いていないか悩み始めるのはいつ頃なのか、気になるところではないでしょうか。
(財)介護労働安定センターにおける「平成25年度介護労働実態調査」では、介護士の離職が最も多い時期は、1年以上2年未満でした。
約20%もの人が1年以上2年未満で退職しており、1年未満で退職した人と合わせると30%を超えます。
つまり、入社してから6ヶ月~1年くらいが経過したときに悩んでいる人が大半だということになります。
では、勤続1年未満の人と勤続2年以上の人の悩みには、どのようなものがあるのかをそれぞれみていきましょう。
勤続1年未満の人のケース
介護士として入社してから1年が経たない間は、覚えることが山のようにありますよね。
入居者(利用者)の顔と名前から始まり、その人の介助の際の特徴や持病などの情報をインプットし、施設の仕事の進め方をマスターするなど、、、
いくら介護士としての経験がある人でも、転職・就職して1年未満はストレスも抱えやすく大変なことのほうが多いものです。
介護士としての経験がある人でもそのように思うので、未経験で働き始めた人にとっては想像していた以上に大変なことが多いと感じることになるでしょう。
特に、入社から6ヶ月以内においては少しずつ周りが見え始めてくるので、入社前と入社してからのギャップを感じやすい状態です。
ギャップを感じたことが理由で「介護士として向いていないのかな?」と考え始めてしまうことがあります。
勤続2年以上の人のケース
大変であった1年目が終わると、一通りの仕事はスムーズにできるようになっている状態だと思います。
それまでは先輩職員から教わることが多く、とにかく自分が必死になって覚えるという状態だった頃に比べると、かなり余裕をもって周りを見ることができるようになっているでしょう。
早い人であれば、自分より後に入社してきた新人介護士に対して、先輩として教えるようになっている人もいる頃でしょうか。
介護士としてできることが増えるというのは、やりがいにつながります。
しかし、周囲が見えることによる余裕から、施設や職場・同僚に対しての悪いところが目につくようにもなってしまう可能性もあります。
これは介護士としての経験がある人によくあるケースです。
例えば、新人に対する教育方法や施設の運営方法、入居者への接し方など、過去の経験と比較して今の施設のダメなところが気になってしまうということです。
その気持ちが毎日続いてしまうようになると、「介護士に向いていないのかも?」と考えてしまうようになるのです。
そもそも介護士に向いてる人って?
ではそもそも介護士い向いてる人って、どういう人なのでしょうか?
また、2年内に退職することなく長く同じ施設で続けることができている人って、どういう人なのでしょうか?
介護士として働くうえで、いくつか重要なポイントがあるので紹介します。
高齢者と接することが好きな人
1つめは、「高齢者と接することが好きな人」です。
この点は、最も重要なポイントだと言っても過言ではないと思います。
介護度が高くなれば、身体的に不自由なことが多くなってくるので、それに伴って介助の度合いも高くなってきます。
そうなると、介護士としては体力的にも負担が大きくなります。
高齢者は皆が身体的に不自由なのではなく、認知症など精神や脳の障がいをもっている方もいます。
認知症の方の場合、身体的には元気なケースもあるので、そういった方の介助は体力的にも精神的にも大変なことです。
そのような仕事の中でも、「高齢者と話をすることで癒やされる」と思えたり「高齢者と一緒にいる空間が楽しい」と思えるかが、介護士に向いているかどうかを判断するうえでかなり重要です。
誰かのためになりたいと思う人
2つめは、「誰かのためになりたいと思う人」です。
介護士は、その施設に入居していたり、その施設を利用している高齢者に介助を通じてサービスを行うお仕事ですよね。
例えば、成績を上げれば自分の給料が上がる営業マンは、まずは自分の成績を考えて仕事をすることが最優先です。
ですが、介護士は営業とは異なり、高齢者の安心・安全な生活を最優先で考えなければいけません。
教科書どおりではないことも起きるケースが多くあり、臨機応変な対応を求められることもあります。
そういった場合においても、自分よりも高齢者を優先するというマインドが必要なので、心から誰かのためになりたいと思うということは、介護士に向いているかどうかの重要なポイントなのです。
長期的にキャリア形成をしたいと考えている人
3つめは、「長期的にキャリア形成をしたいと考えている人」です。
介護士としてのスキルや経験は、すぐに習得できるものではありません。
色々なケースを対応することによって経験を積み、病気や身体構造、介助の方法など多くの学習をしてかなければなりません。
国家資格である介護福祉士資格の取得方法が、スキルや経験をすぐに習得できるものではないということを示しています。
【介護福祉士資格取得方法】
次の3つの方法がある。
1.3年以上の介護等の業務に関する実務経験及び都道府県知事が指定する実務者研修等における必要な知識及び技能の修得を経た後に、国家試験に合格して資格を取得する方法
2.都道府県知事が指定する介護福祉士養成施設等において必要な知識及び技能を修得を経た後に、国家試験に合格して資格を取得する方法
3.文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定する福祉系高校において必要な知識及び技能を修得した後に、国家試験に合格して資格を取得する方法
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.htmlから引用
厚生労働省が上記のように規定している通り、介護福祉士を取得するには、養成施設を複数年かけて卒業するか、実際に3年以上介護業務に従事しなければならないのです。
また、介護福祉士資格を取得することがゴールになるのではなく、その先にも介護経験を積まなければ取得できない資格があります。
それをメリットとして考えるのであれば、長期的にキャリアを形成することができる業界・職種であるということです。
このメリットを活かし、介護業界で長く働きながらスキルアップしていきたいと思う人には介護士が向いていると言えます。
安定した仕事に就きたいと思っている人
4つめは、「安定した仕事に就きたいと思っている人」です。
よく言われることですが、介護業界は他の業界と比較して安定している業界です。
介護業界が安定している理由に、次の2つが挙げられることが多いです。
1.日本が超高齢化社会を迎えていることで、介護施設の需要が高まる一方であるため
2.介護施設を運営する法人は、国からの支援や介護報酬で成り立っており売上が安定しやすいため
昨今の新型コロナウイルスのまん延により、多くの会社が倒産・廃業したり、多くのサラリーマンが雇い止めや減給となりました。
そのような状況下でも、介護業界は安定的に成長を続けています。
不足の事態が起きても成長し続けることができる業界で、長く働きたいと思える人に介護士は向いていると言えます。
合わないかも?と思ってしまっている現状を抜けるには
ここまでお読みいただき、「自分は介護士に向いてるな」と思われた方が多いのではないでしょうか。
私自身、介護士専門の転職エージェントとして多くの介護士の人と面談をさせていただくなかで、「なぜ介護士として働くのですか?」という質問をします。
ほとんどの人が「介護士に向いてる人」に当てはまる回答をしてくださるため、「自分は介護士に向いているな」と思った方が多いのではないかと感じたのです。
しかし、それにも関わらず、実態としては約30%もの方が入社してから2年以内に退職をしています。
退職するまでの経緯で、色々と悩むことがあると思います。
本来は「介護士に向いている人」なのにも関わらず、一時的な悩みで「介護士に向いていないかも、、、」と思ってしまうのはもったいないことです。
「やっぱり自分は介護士に向いてるんだ!」と思い直してもらうことができるよう、悩んだときの状況の抜け出し方を3つ紹介します!
施設やフロアの異動
「介護士に向いていないかも、、、」と思ったら、まずはユニットやフロア、系列の施設への異動を相談してみましょう。
今の環境や人間関係が合わないだけで、異動させてもらうだけでモチベーションが戻るというケースは多くあります。
同じ施設の中でもリーダーや主任が違えば、多少なりとも仕事の進め方は変わります。
仕事の進め方が合う上司がいれば、仕事は楽しくなるものです。
もし、その施設自体が合わないとなれば、別の施設に異動させてもらいましょう。
リーダーや主任が変われば状況が変わるのと同様に、施設長が変われば状況が変わることが多いです。
転職(他施設の介護士)
ユニットやフロア、系列の施設への異動が叶わなかったり、異動しても同じような状態が続いて抜け出せなかったという人は、他の施設への介護士としての転職をオススメします。
今の職場が合わない=介護士に向いていない
と判断する人がまれにいますが、その施設に合わなかっただけで、介護士に向いていないわけではありません。
これだけ多くの介護施設があるので、施設の考え方や取り組み方は施設によって大きく異なります。
自分に合う施設を探すようにしてみましょう。
その際は、第三者の意見を取り入れながら転職活動をすることをオススメします。
具体的には、【紹介会社の利用】と【口コミサイト】の利用です。
主観で転職活動をするよりも、客観的な意見やアドバイスをもらいながら転職活動をしたほうがうまくいくケースが多いです。
細かくはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
転職(他業種)
ユニットやフロア、系列の施設への異動も、他の施設への転職もうまくいかなかった人は、思い切って介護以外の仕事に転職するということもひとつです。
そうすることで、「介護士として向いていたのか・向いていなかったのか」がはっきりすることがあります。
もし、「やっぱり介護士のほうがいいな」と感覚的にも思うようであれば、介護士のほうが向いているということでしょう。
「今のほうがいいな」と思うのであれば、それはそれで新たな自分を発見することができたことになるので、ポジティブなことですよね!
まとめ
今回は、
介護士に向いている人とはどういう人なのか?
もし「介護士に向いていないのでは?」と悩んだ場合にはどのようなことをすれば良いのか
の2点を紹介させていただきました。
体力的にも精神的にも大変な介護士としての仕事ではありますが、転職エージェントとしての経験上、向いている人が多いということも事実です。
一時的な「介護士に向いていないかも」という感情がきっかけで介護士を辞めてしまうなど、後悔する人が減るといいなと思っています。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。