介護現場の人間関係を解決!介護施設内の人間関係を良くするマネジメント術5選

心理的安全性 施設運営
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いつもご覧頂き、ありがとうございます。

今回は、施設内の人間関係を良くためのするマネジメント術を紹介していきます。
内容は部下を持つ施設長や管理職の方へ向けた内容となっています。

どの職場でも重要な人間関係ですが、離職率が高いと言われる介護の業界において、施設内の人間関係を良くするということは特に重要なことです。

まず、結論をお伝えすると、、、

・率先して挨拶をすること
・分け隔てなく接すること
・自らコミュニケーションを取りに行くこと
・要望を聞く環境を設けること
・叱る・褒める・フィードバックするを分けてすること

これらのマネジメント術を実行する目的は心理的安全性と低次元の欲求を満たすためであるということ

 

「人間関係」は良ければ良いほど介護職のパフォーマンスは上がり、
業務効率の改善や、職場環境の改善にポジティブな影響を与えます。

一方で、「人間関係」を疎かにしてしまうと、業務範囲外のところで問題が起きるなど
ネガティブな影響を与えることになってしまいます。

事実、介護の業界で最も多い離職理由は、「職場の人間関係に問題があったため」です。

介護の離職理由

2025年問題でも言われているように、介護の業界は将来的に大幅な人手不足に陥ります。
それを少しでも回避できるようにするため、施設長や管理職はマネジメントスキルを高めたいものです。

「人間関係」というのをネガティブで面倒なものだと捉えているのであれば
これを機に、良い職場にできるチャンスが多くあるのだと感じて頂ければと思います。

1. マネジメントの必要性は?

人間関係

現時点である程度うまく施設が運営できているため、多少の人間関係が発端となっている問題については
職員間で解決するよう促していたり、放置したりしているということを聞くことが少なくありません。

そうしていることで火種が大きくなり、最終的には抑えきることができない大きな問題や離職に繋がっていってしまうのです。

では、「施設長や管理職は普段からどのような対応をすべきなのか?」ですが、
平成27年の全国社会福祉協議会における「福祉施設長のあり方に関する検討会」※1において、
以下のように「福祉施設長」の役割を定義しています。

「福祉施設の経営管理の責任者として、福祉施設長にふさわしい姿勢や態度で、職員を統括して、諸課題に取り組み実績を示し、法人のみならず広く社会に伝える者。」
※1)引用元:https://www.shakyo.or.jp/research/2015_pdf/20150331_arikata.pdf15ページより引用

また、上記定義を実現するために、職員に対しては以下のように取り組むよう明示されています。

「働きやすい、魅力ある職場づくりに取り組む」
※1)引用元:https://www.shakyo.or.jp/research/2015_pdf/20150331_arikata.pdf 16ページより引用

さらに細分化すると、

「これらのために、福祉施設長と職員が十分なコミュニケーションをとり、 良好な人間関係とチームワークを発揮できる組織にしていくことが必要である。」
※1)引用元:https://www.shakyo.or.jp/research/2015_pdf/20150331_arikata.pdf 17ページより引用

と記載があります。

つまり、施設長(管理者)は

①職員を統括して課題に取り組むために
②働きやすい職場づくりを行わなければならず
③それには十分なコミュニケーションを取ることでチームワークを発揮できる組織にする

ということを求められているのです。

この内容から分かるように、施設長や管理職は介護職員のマネジメントをするべきであり、むしろ必須のことなのです。

2. 人間関係でパフォーマンスが変わる?

人間関係

先ほどは、全国社会福祉協議会の検討会が発表したものをご覧頂き、
どちらかというと「べき論」で重たい内容になってしまいました。

確かに介護職員のマネジメントには、より一層取り組むべきではあるのですが
ここからは、「職場の人間関係によって、介護職員のパフォーマンスが良くなる」という話を紹介することで、
マネジメント対して前向きに取り組んでもらえる内容になっています。

具体的に、人間関係を良くすることで、、、

・意欲的に業務に取り組んでくれる
・ポジティブな発言が増える
・職員間で自発的に助け合う風土ができる
・欠勤や遅刻が減る
・早期離職、突然の離職が減る

などのポジティブな影響があります。

それらは心理学的にも提唱されていたり、実際に企業での実験で立証されていたりもします。

2.1 マズローの欲求階層説

「マズローの欲求階層説」を聞いたことがある方は多いと思います。

マズローの欲求階層説とは、「そもそも人間は自己実現に向かい、絶えず成長する生き物である」ということを
前提として、最終的な自己実現欲求を満たすために、第一段階の生理的欲求を満たすことから始まるというものです。

マズローの欲求階層説

この図の上にいけばいくほど、高次元となっており、高次元の階層の欲求を満たすためには
低次元の階層の欲求を満たしておかなければならないのです。

しかしながら、介護施設における仕事では、低次元である安全欲求や社会的欲求を満たす前から
施設長や管理職は高次元の自己実現欲求を発揮してくれることに期待を寄せてしまっているのです。

低次元の欲求を満たす前から、
「過去の経験を思いっきり発揮してほしい」
「何か改善案があったらいつでも言ってね」
などと職員に言っても期待通りになることはないのです。

つまり、マズローの欲求階層説で考えると、まずは施設長や管理職側から
職員の安全欲求や社会的欲求を満たしてあげる必要がある
ということです。

(生理的欲求については、法人規模や個々人の私生活の状況により変動し、介入し辛いところなので割愛します。)

まずは、職員の安全欲求・社会的欲求を高めることに注力しましょう。

そうすることで、徐々に高次元の欲求を満たすことができている集団になり、より人間関係が良くなっていくのです。

 

2.2 Googleが提唱した心理的安全性の重要性

心理的安全性

「心理的安全性」とは、「自身が所属しているチームにおいて、対人関係リスクを取っても大丈夫だと、
その他メンバーと共有されていると感じ取れる心理状態のこと」
と定義されています。

つまり、他の職員と建設的な意見交換ができると思えたり、自分らしさを発揮することができるような環境があると思えることなのです。

「心理的安全性」は1999年に発表された概念で、それを取り入れようとGoogleがプロジェクトを立ち上げ、社内で実験を行うこととなりました。

その結果、心理的安全性が高いチームは離職率が低く、収益性が高いということがわかったのです。

Googleが心理的安全性の重要性を公表したことをきっかけとして、
日本でもメルカリなど多くの企業で取り組みをスタートしたことが知られています。

介護の業界において考えると、心理的安全性を高めることで長期的には、、、

①離職率が低減し長年働いている介護職が増えることで労働生産性が向上する
②無駄な採用コストや教育コストまでもカットすることができるようになる
③カットできた費用を福利厚生に充当したり、施設としてのDX(デジタル化)を含む新たな取り組みをスタートさせることができる
④さらに働きやすい施設になる
⑤また離職率が低減する

という良いスパイラルに関連付けることができると思います。

今からお伝えするマネジメント術5選で、心理的安全性を高めることができますので
是非積極的に取り入れて頂ければと思います!

 

3. マネジメント術5選

面接準備

施設長や管理職は、全国社会福祉協議会の方針としてマネジメントに取り組むべきですし、
長期的視点で良いスパイラルに入れるようにするためにも、
マネジメントに取り組んでいったほうがいいということはご理解頂けたと思います。

ここからは具体的に、職場の人間関係を良くするマネジメント術を紹介します。

3.1 率先して挨拶をすること

1つ目は、「率先して挨拶をすること」です。

重要なのは、「率先して」という点です。

部下から上司に挨拶をすることはある種当然のことであります。

だからこそ、上司である施設長や管理職から挨拶をすることが、効果を増大させるのです。

上司が明るく元気な挨拶をしていると、自分もしなければという風に意識が変わります。

明るく元気な挨拶には、以下のような効果があるとされています。

・他人も自分もモチベーションが上がる
・ストレスを和らげる
・話しかけられやすい雰囲気を作ることができる
・相手の存在を認知しているというアピールができる

最後の、「相手の存在を認知しているというアピールができる」という点が特に重要で、
マズローの欲求階層説にもあった最低次元の生理的欲求を満たすことができるのです!

 

3.2 分け隔てなく接すること

2つ目は「分け隔てなく接すること」です。

人によって態度を変えることは好ましいことではありませんよね。

上司が人によって態度を変える人だと部下から認知されてしまうと、
部下は自分の身を守ることに意識が向いてしまい、良い人間関係を築くことが難しくなってしまいます。

しかし、分け隔てなく接することができれば、以下のような効果があります。

・周囲から信頼されるようになる
・コミュニケーションを取りやすくなる
・介護職員の心理的安全性の担保に繋がる

こちらも、「介護職員の心理的安全性の担保に繋がる」という点が最も重要で、
心理的安全性が担保されているからこそ、職員が積極的に発言することができたり
職員間のコミュニケーションが活発になったりする
のです。

 

3.3 自らコミュニケーションを取りに行くこと

3つ目は、「自らコミュニケーションを取りに行くこと」です。

1つ目と繋がるところはありますが、「自ら」という点が重要です。

介護職員から施設長や管理職には、話しかけたくても話しかけづらいものです。

だからこそ、施設長や管理職から話しかけてもらえることで、喜びは一層大きくなります。

施設長や管理職かコミュニケーションを取りに行くことで、以下のような効果があります。

・今後、話しかけてもらいやすくなる
・相談事が直接入ってくるので、問題をキャッチしやすくなる
・施設内の雰囲気が明るくなる

 

3.4 要望を聞く環境を設けること

4つ目は、「要望を聞く環境を設けること」です。

部下からの要望には定期的に耳を傾け、極力取り入れるようにしましょう。

例えば、意見箱を設置する、月1回の定期面談を設ける、メンター制度を導入し、メンター経由で情報収集するなど
方法はいくつもあるので、状況に合わせて実施していくことができます。

要望を聞く環境を設けることで、以下のような効果があります。

・環境を整備するきっかけを見つけやすくなる
・職員間での愚痴や不満の解消になる

これらは、マズローの欲求階層説で言う社会的欲求を満たすことができる内容です。

 

3.5 叱る・褒める・フィードバックするを分けてすること

最後は、「叱る・褒める・フィードバックするを分けてすること」です。

「分けてする」という点が重要で、相手に今は叱られているのか、フィードバックをしてもらっているのかということを区別してもらえるよう意識したり
褒めるときには、「褒めてもらえている」と認識してもらえるようなアプローチをしていくということです。

それぞれ個別にポイントを見ていきましょう。

3.5.1 叱る

3つの中で一番気を付けたいポイントです。

叱るときは、「個別に」「事実について」「冷静に」を意識しましょう。

「個別に」「冷静に」
他の職員がいるところで、大きな声で叱られると、部下はただただ恥ずかしい気持ちや

萎縮した気持ちになってしまい、伝えたいことが伝わらなくなるため、そういったシチュエーションは避けましょう。

「事実について」
ただ頭ごなしに叱られると、何について叱られているのか分からなくなってしまうので

叱るのであれば起こった事実・事象についてのみ叱るようにしましょう。

3.5.2 褒める

褒めるということはポジティブなことなので、取り組みやすいことですね。

ただ、褒めるときにもいくつか意識したいポイントがあります。

それは、「具体的に」「平等に」という点です。

「具体的に」
褒められること自体は喜ばしいことなのですが、何について褒められたのかを理解させることで

より褒められたことに対する印象が強まります。
・いいね!→今の発言の内容、いいね! ・すごいね!→いつも仕事が丁寧ですごいね!

などです。

「平等に」
同じようなことが起きたときに、Aさんは褒めてBさんは褒めないのようにしてしまうと

不公平感や嫉妬感が生まれてしまい、それがきっかけで人間関係の悪化につながる恐れがあります。

これらを意識することで、普段からしっかりと見てもらっているという安心感を与えることができます。

3.5.3 フィードバックする

もちろん、フィードバックすることにも注意したい点はあります。

「客観的に」「ゴールを明確に」という点です。

「客観的に」
できるだけ数値を用い、叱るときと同様、感情が入ってしまわないように事実について話を進めるよう心がけます。

「ゴールを明確に」
課題や問題についてお互いに理解ができたら、どういう状態がゴールになるのかを共通の認識として得ましょう。

そこに向けて一緒に努力するパートナーだという気持ちを持ってもらうことができれば、
最高のフィードバックになります。

4. まとめ

今回は、職場の人間関係を良くするマネジメント術5選を紹介しました。

おさらいをすると、以下の5つです。

・率先して挨拶をすること
・分け隔てなく接すること
・自らコミュニケーションを取りに行くこと
・要望を聞く環境を設けること
・叱る・褒める・フィードバックするを分けてすること

最も重要な点として、
これらを実行する目的は心理的安全性と低次元の欲求を満たすためである
ということをしっかりと理解して実行して頂きたいです。

心理的安全性が担保され、高次元の欲求を叶えることができる職場は
人間関係が良くなり、離職率は低減し、生産性は上がると大手企業の事例からも実証されています。

逆に、心理的安全性も担保されず、低次元の欲求をも満たされることが無いような職場では
小手先で改善を試みようとしてもうまくいかず、人間関係は悪化する一方なのです。

一見、心理的安全性と低次元の欲求を満たすことは遠回りのように思うかもしれませんが
結果的にそれらを満たすようにマネジメントしていくことが一番の近道であるのです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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