介護職として勤務するにあたり、「雇用条件」ってすごく重要ですよね。
お給料、勤務地までの通勤時間と通勤方法、休日・休暇、福利厚生など、介護職にとって重要な項目はたくさんあります。
介護職にとって重要な「雇用条件」の中でも、「雇用形態」は特に重要な項目です。
「雇用形態」とは、正社員・契約社員・アルバイト・パート・派遣などの雇われ方の種類のことです。
同じ施設で同じ時間、同じ介護職として働いているのに、「雇用形態」が違うだけでお給料などの「雇用条件」が違うということがあります。
それが、「派遣」か「正社員」かです。
「派遣」と聞くと、
・もっと働きたかったのに、派遣契約が終了になってしまった(派遣切り)
・派遣であるだけで他の社員となじみにくい
・時給で考えると、正社員よりも派遣のほうが給料が高いことを嫌味っぽく言われることがある
このような話を聞いたことをあるなーと思う方もいるのではないでしょうか。
正社員のほうが様々な面で優遇されるので、今の職場で正社員になりたいと思う方は多くいると思います。
そのため今回は、派遣から正社員になりたいという方へ向けて、今の職場で正社員に切り替えてもらう方法などを紹介していきます。
それぞれの働き方
まずは派遣と正社員の働き方や、取り巻く状況を理解しておく必要があります。
同じ職場で同じ仕事をしているのに、どうして色々な違いがあるのでしょうか?
派遣の働き方
派遣で働くメリットとデメリット
【派遣で働くメリット】
・時給が高いことがある
・契約期間があるので、施設が合わなければ契約期間満了で辞めやすい
・施設に直接言いにくいことは、派遣会社の営業担当を通じて言える
【派遣で働くデメリット】
・契約期間があるので、施設の判断で契約満了で辞めさせられる可能性がある
・賞与が無いことがほとんど
・働いていても退職金の算定期間に入らない
・働いている施設の福利厚生を使えないことがほとんど
やはり、フルタイムで長く働ける人にとっては、派遣はデメリットのほうが大きくなりそうですね。
正社員である程度働けば、賞与や退職金がもらえることになるので、収入に差が出てきます。
派遣法の改正
派遣で勤務するにあたり、「派遣法」の重要なポイントを理解しておく必要があります。
1985年に派遣法が制定されて以降、そのときの社会情勢に合わせて頻繁に内容が変わっています。
直近では、2020年4月に改正がありました。
現行の派遣法の重要ポイント
①契約期間がある状態で、派遣として3年を超えて同じところで就業することができない
いわゆる、「派遣3年ルール」です。
契約期間がある派遣が、同じ職場や同じ部署で働ける上限は3年となっており、3年を過ぎると
①別の派遣先での契約期間がある派遣としての就業
②今の職場で無期雇用の派遣に切り替える
のいずれかを選択しなければならないというのが、「派遣3年ルール」です。
②同一労働同一賃金の施行
2020年4月より施行された、同一労働同一賃金。
同じ仕事をしている正規雇用と非正規雇用の間に、格差をつけないようにしようという内容です。
つまり、基本的には派遣も正社員も時給単価で考えればお給料は同じなのです。
③30日以内の日雇い派遣の原則禁止
日雇い派遣労働者の雇用の不安定さが問題となったときにできた内容です。
原則、契約期間は31日以上でなければならないというものです。
国の正規雇用の促進
最近の新型コロナウイルスによる会社の業績悪化により、「派遣切り」というワードをよく聞くようになりました。
リーマンショックのときにも、同じように派遣切りが横行しました。
日本全体が経済的にダメージを受け業績が悪化すると、必ずといってもいいほど派遣切りは起こります。
その都度、派遣切りはトラブルのもとになるため、国は正規雇用(アルバイトや契約社員を含む)の促進を行っています。
例えば、「キャリアアップ助成金」という厚生労働省が行っている事業があります。
契約期間がある職員(派遣を含む)を正社員などの無期雇用に切り替えれば、国からいくらかの助成を受けられるというものです。
当然、働き手としては契約期間があるよりも無期雇用のほうが安定していることになります。
そういったことから特に、フルタイムで働くことができる人は、正社員に切り替えるよう国から企業に促進しているのです。
正社員の働き方
正社員とは、契約期間が無く直接的にその法人で雇用契約を結んでいる働き手のことを指します。
最近では、「専門職正社員」や「地域限定正社員」など、幅広い正社員の制度を設けている会社が出てきました。
いずれにせよ、無期で・直接的に契約して働くという点が共有しています。
無期で働くことができる=契約期間が無いということから、基本的にはずっと働き続けることができるので安定しています。
正社員で働くメリットとデメリット
正社員で働く上での1番のメリットは待遇の良さです。
具体的に、これだけ多くのメリットがあります。
【正社員で働くメリット】
・賞与がある
・シフトを調整してもらいやすい
・有給を使いやすい
・退職金があることが多い
ここに文字【正社員で働くデメリット】
・派遣に比べると辞めにくい
・派遣に比べると責任が重くなることもある
一方、デメリットというと、責任が増え辞めにくくなるというところでしょうか。
そもそも長く働きたいと思っている人からすると、そこまで大きなデメリットにはならなそうですね!
正社員で働くときの法律は?
正社員で働くときには、「労働契約法」という法律が適用されます。
今回は労働契約法について詳しく紹介しませんが、労働契約法は、基本的には働き手を守ってくれる法律であると思ってください。
労働契約法の中には、「使用者は労働者にさまざまな配慮が必要」と明記されている程、労働者寄りの内容なのです。
派遣と正社員、結局どっちがいいの?
派遣と正社員の働き方やメリットデメリットを紹介しましたが、あなたにとってはどちらのほうが良かったでしょうか?
フルタイムで働くことができるのであれば、正社員で働くほうがメリットが多くあると感じられたのではないでしょうか。
法律の観点でみても、派遣で働く場合の派遣法については、派遣で働いている人を守るというよりも、正社員になることを促しているような感じです。
正社員で働く場合の労働契約法はしっかりと正社員を守るという内容になっているので、正社員で働くことは格段に安心感がありますよね。
介護施設が派遣で雇用する理由は?
介護施設が派遣で雇用する理由は様々ですが、基本的には「今、介護職が不足しているから」ということです。
ということです。
なぜなら、派遣は時給換算だと正社員よりも雇用のコストが高くなり、人件費を圧迫するからです。
休暇スタッフの代打
産休・育休、労災、体調不良による特別休暇など、直接雇用(正社員・契約期間・アルバイト・パート)の職員が不在になる際に、その職員と同じくらいの時間を働ける職員を派遣で雇用することがあります。
つまり、戻ってくることが決まっている人がいるときに、一時的に採用するということです。
一時的な人手不足
突発的に辞めた職員がいる、急な事故や病気で長期入院する職員がいるなど、不足の事態があった場合に直接雇用(正社員・契約期間・アルバイト・パート)の職員が不在になる際に、その職員と同じくらいの時間を働ける職員を派遣で雇用することがあります。
つまり、いつまでかはわからないが、直接雇用できるまでは不足した部分の穴埋めをするということです。
ピンポイントで働ける人の採用
直接雇用(正社員・契約期間・アルバイト・パート)の職員が勤務曜日や勤務時間の固定をすることなどにより、ある曜日・ある時間だけ人手が足りないというときに派遣で雇用することがあります。
この場合は、働き手としてもWワークで働くうちの1つの勤務先という考えになることが多いので、この場合の派遣での勤務という選択は良いと思います。
採用力低下
人手不足の施設が直接雇用(正社員・契約期間・アルバイト・パート)の職員を採用できないため、派遣で雇用することがあります。
この場合、フルタイムの派遣でも基本的には長期的に働くことができます。
いろいろな派遣会社からスタッフが送り込まれているので、派遣で働いている人も多くいるでしょう。
正社員になるためにやるべきこと
派遣から正社員になるためには、やるべきことがいくつかあります。
誰でも正社員になれるということではないのです。
派遣から正社員になるにあたり、やるべきことを紹介します。
言い換えれば、施設から「このままずっと働いてほしいな」と思ってもらうことができればいいのです。
①契約期間の出勤率を100%にする
まずは、社会人としての基礎中の基礎ですが、勤務予定通りに出勤しましょう。
やむを得ない事情がない限り、欠勤・遅刻・早退をしないことが重要です。
・寝坊による遅刻
・自己管理不足による体調不良での遅刻や欠勤、早退
には十分に気をつけたいところです。
自己管理をしっかりするという、社会人として当たり前のことをできていないと思われることになり、大きなマイナスです。
・感染症(インフルエンザや新型コロナウイルスなど)の疑いがある体調不良(嘔吐、発熱など)
・親族に起きた重大な事柄
万が一そのようなことがあった場合は、それ以降の勤務に精一杯取り組めばそれで大丈夫です。
②業務を通じて、他の職員とよい関係作りをする
勤務予定通りに出勤することができれば、まずは社会人としての信頼を勝ち取ることに成功したといえます。
ただし、派遣から正社員になるにあたっては、他の職員との関係性が良いかどうかもポイントになります。
常に明るく前向きでいることを意識する
あいさつをするとき、お礼を言うときなど明るい声で対応できていますか?
誰かのグチばかり言ってませんか?頼まれごとがあるとき、嫌そうな顔をしていませんか?
あなたがされて嫌な対応を相手に対してしていると、相手はあなたに対して嫌な感情を持つのです。
わからないことはすぐに聞く
特に働き始めてすぐは、わからないことがあって当然です。
施設ごとでやり方が違ったりもするので、経験があったとしてもわからないことは出てくるものです。
わからないことを聞くことで、コミュニケーションを取ることもできます。
困った場合は1人で判断せず、まずは相談する
業務中に困ったり迷ったりすることもありますよね。
経験がある人は、過去の経験と照らし合わせて自分で判断した結果、間違ってしまうということがあります。
そうなってしまうと「勝手な人だ」というマイナスのイメージがつくので注意です。
どうするか迷ったときは、まずは上司や先輩に相談しましょう。
③派遣会社の営業担当と施設長との3者面談実施をする
勤務予定に対しての出勤実績もばっちり!
他の職員とも良い関係性を作れている!
こうなれば、派遣会社の営業担当と、施設長とあなたの3者面談を実施するよう依頼しましょう。
派遣会社の営業担当に、「今働いている施設で正社員になりたいので3者面談をしてほしいです」と言えば調整してくれます。
・過去の勤務予定に対する出勤実績
・他の職員と良い関係性であることを裏付けるエピソード
その内容をもとに、施設として信頼できる人なのかどうかを判断してもらうことになります。
まとめ
今回は、派遣から正社員になる方法を紹介してきました。
誰でも正社員になれるわけではないですが、「正社員になるためにやるべきこと」をしっかり積み重ねていくことで、可能性がぐんと上がります。
正社員で働ければ、賞与や退職金など多くのメリットがあります。
フルタイムの派遣で働いている人は特に、正社員になることを考えてみてはいかがでしょうか?
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。