介護職員も簿記は学んだ方がいいのか?簿記を学ぶべき理由をご紹介します。また、簿記はどこまで勉強するのがいいのか、介護職員が簿記を実務でいかせられるレベルについてもご紹介します。
1.簿記って何?使えるの?
簿記と聞くと「経理の人が使う資格でしょ?」と思う人も少なくないと思います。先ずは、簿記について簡単にご紹介します。
1-1.簿記とは
企業などが経済取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を管理し、併せて一定期間内の収益及び費用を記録することである。
参照元:ウィキペディア
これを見てもなんか、複雑に感じますよね。そうした方は、簿記とは「企業の取引を記録する事」という程度の理解でもいいと思います。
今では、世界中の企業で使われている記録法ですが、そんな簿記はいつから行われていたのでしょうか?
1-2.簿記の歴史
簿記の始まりは、古代ローマ時代に貨幣取引を記録するために使われたのが始まりとされています。
そして、今私たちが使っている簿記(複式簿記)は、約600年前に発明されたとされており、お金で物を購入した際に、財産(物)を得た事と、お金(財産)をなくした事の両方の面を記載できるようになりました。
そんな簿記は、介護業界で役に立つのでしょうか?
2.独立を考える介護士は簿記が必須!?
介護施設で簿記がどう生きるのかをご説明します。そのために、簿記を学ぶことで出来る様になる事をご紹介していきます。
2-1.簿記を学ぶべき4つの理由
簿記を学ぶべき理由は上げてみました。
- 「経理の基礎」が理解できるから
- 「経理情報」を見れる様になるから
- 過去の「取引の内容」を理解できるから
- 「経営指標」が読める様になるから
簿記は、経理業務の基礎であり、経理とは簿記によって成り立ってるとも言えます。そんな簿記を学ぶ事で、施設活動によって発生する取引(売上や費用)の内容が理解できるようになります。
2-2.介護士が簿記を学ぶメリットは?
簿記で学ぶ事で得られるスキルは、上記で説明した通り、施設の経済活動に関する取引が見れるようになります。
そんな簿記を介護士が学ぶメリットはあるのでしょうか?
施設で介護業務に従事している介護職員の方には、正直言って必要ないと思います。むしろ、介護職がしたいのに、簿記の資格などを持っている事で、会社で経理業務を行う事を命じられたりする可能性があります。
(それが嫌でない方にはいいかも…)
しかし!!
今は現場で介護サービスの経験をして、後に独立や、会社内で出世して経営層になりたいと思っている方は、簿記の勉強をしておいて全く損しないと言い切れます!
上記でご紹介したように、簿記を学ぶ事で経営数字がより明確に読めるようになります。そうすると、独立して作られたあなたの法人の経営状況などもより理解できるようになります。
経理は外注するから要らない。ではない
「え、会社作ったら経理は税理士さんに任せるよ。」と、考えられる方も少なくないと思います。
確かに、経理実務を今まで行なっていない方が独立して経理をする事は難しいと思いますし、そもそも小さな法人の多くは経理を、税理士さんに丸投げしてるところも少なくありません。
しかし、簿記を学ぶ事で、税理士さんが出した数字を疑う力が身につき、その税理士さんとあなたの会社の経営状況について、決算資料を用いて議論することもできます。
そんな簿記は、独立を考えている介護士には、やっておいて損はない!と言えると思っています。
4.簿記って資格?何級まで必要?
将来自分が経営するために、学んでおいた方がいい簿記ですが、本屋などに行くと、簿記◯級と言った資格試験用の本がいっぱいありますよね。
実際、施設経営を行う上でどの程度の簿記の力が必要なのかご紹介します。
4-1.簿記資格とは
簿記資格は民間資格であり、主催する団体ごとに異なり、有名どころであれば、日本商工会議所が主催している「日商簿記」、全国商業高等学校が主催している「全商簿記」、社団法人全国経理教育協会が主催する「全経簿記」の3つがあります。
その中でも、日商簿記と呼ばれる日本商工会議所が主催している資格が最も有名であり、全国的な信頼度が高くなっています。
日商簿記は、難易度が低い順に
「簿記初級・原価計算初級→3級→2級→1級」となっています。
では、経営者としてどの程度の簿記資格レベルが必要かついて私の意見をご紹介します。
4-2.経営者が勉強すべき簿記は何級?
経営者が税理士さんなどの会計専門家と会話するための目安になるのは、簿記2級にです。
簿記2級は大企業などで、経理社員を採用する際の資格レベルであり、資格取得には、簿記の全般的な知識が必要とされています。
つまり、2級があると、公認会計士や税理士さんが、話していて大きなストレスは感じないレベルだといえ、「この人分かってるな!」と感じられるレベルだと言えます。
4-3.絶対に簿記2級レベルが必要なのか?
上記で、簿記2級レベルの知識が有ればいいとご紹介しましたが、簿記2級の資格取得のための勉強時間は300時間程度(近年2級の試験難易度が上がったため、もっと必要かもしれません)と言われており、国家資格ほどの難易度はないものの、そこそこ時間を要するのは間違いありません。
また、介護施設運営などの事業を行う上で大事なのは、どこまで行っても本業の介護サービスの内容であり、簿記は経営指標が読め、より的確に実情を測れるだけに過ぎませんので、そこまでの勉強時間をかけるのも、もったいない気がします。
したがって、もし将来経営者になるために、簿記を勉強しようかなと考える方は、3級のテキストでも問題ないと思います。
(会社の規模が大きくなるにつれて、必然的に高難易度の簿記の知識も身についていくと思います)
まとめ
いかがでしたでしょうか?簿記は企業の経営実態を把握する上で、学んでおいて損はないと思います。全くやっていないと、実態がよく分からず、どこかで必ず苦労しますので、もし今時点で将来について考えている介護士さんがいらっしゃれば、ぜひ簿記の世界に踏み込んでみてください。将来きっと役に立つと思っています。