今回は、退職することを決心してから、退職日を迎えるまでの間にやるべきことを紹介します。
私自身が介護職の方の転職サポートをしている中で、「辞めようか迷っているが辞めるまでに必要なことがわかならい」という相談を頂く回数が非常に多いです。
同じ介護職で何度か転職を経験していても、「やるべきことってこれでだけだったかな?」と毎回迷いますよね。。。
介護職の方は最後の出勤までバタバタしているというケースが多いですが、全体の流れをつかんでゆとりをもって手続き・準備を進めていってもらいたいと思います。
手続き・準備で重要な点については少し細かく紹介しているので、注意して確認してくださいね!
退職を心に決めたらやること
まずは、退職を心に決めたらやるべきことを紹介します。
退職を決心したら、働いている施設の上司や施設長に退職相談をしましょう。
退職相談で双方が退職について合意すれば、退職届を提出して正式に退職が決定することになります。
退職相談と退職届の提出で1セットですので、どちらかだけでOK!ということではありません。
それぞれ詳しく紹介します。
退職相談
退職を決心したらはじめに、「辞めようと思っている」ということをしっかりと上司に相談・報告しましょう。
しっかりと退職する理由を伝え、聞いてもらいます。
それに対する返答次第では、状況が改善して退職することを取りやめることになるケースもあります。
状況が改善することが無い場合は、そのまま退職する方向に話が進みます。
退職することで話が進めば、最終出勤日や退職日が決まります。
最終出勤日や退職日が決まれば、退職に向けてやることが多くなるので、忘れることないよう注意しましょう。
退職届の提出
退職相談を経て、正式に退職日や最終出勤日が決定すれば退職届を提出しましょう。
「退職届を書かないといけない期日」というのは、各施設の就業規則によって差がありますので、しっかりと確認することをおすすめします。
基本的には、「退職日から1ヶ月以上前に退職届を提出すること」としている施設が多いと思います。
施設によっては、退職日から2ヶ月以上前に退職届を提出しないといけないなどがあるのです。
しかし、法律的には退職日から14日以上前に退職届を出せばいいことになっていますので、その点も把握しておく必要がありますね。
文章だと分かりづらいと思いますので、図でご覧ください。
このように退職したいと思っている日から逆算して、期日内に退職届を出すことができるようにする必要があります。
退職届は、施設に所定の用紙があるのでご自身で準備することはないです。
ポイントとなるのは、退職届は必ず提出する必要があるということです。
まれに、退職相談のみしていて、退職日まで口頭で決まっているからといって確実に辞めることができると思っている方がいます。
介護業界では、突発的で予期しない退職があったりもします。
その際に、口頭でしか話していなければ、施設から「聞いていない」などとして退職日を先延ばしされたりするケースもあります。
このように、口頭であればのちのち言った言わないのトラブルに発展する可能性があるのです。
退職願と退職届の違い
よく、退職願と退職届のどちらを提出すれば良いのですか?と質問をいただきます。
ケースやその人の状況によって、退職願と退職届のどちらを提出すべきか変わるということが答えです。
退職願と退職届の違いを紹介しますので、理解して使い分けることができるようにしましょう。
・退職願
「退職したいから承認してください」というニュアンスの内容の書面が、退職願です。
つまり、退職することについて双方合意している場合には、退職願は出しません。
良くないことではありますが、退職相談を踏まえずに一方的に退職を申し出る場合などに退職願を出すことになります。
退職願は、施設側は退職を容認していない段階で提出するものですので、提出後に退職願を撤回することも可能なのです。
・退職届
「退職します」ということを申し出る書面が、退職届です。
退職について双方合意している場合に、退職届を提出します。
基本的には事前に退職について合意していることになるため、一度提出すると撤回することが出来ないケースが多いです。
退職前にやるべきこと
いくつかやるべきことがあり、ちゃんとやっておかなければ後々面倒なことに、、、
転職先に迷惑をかけてしまう可能性も出てくるので、確実に完了させた状態で退職日を迎えるようにしましょう。
共通項目
転職先が決まっている人も、決まっていない人も全員がやるべきことから紹介していきます。
それは、
①退職手続き
②あいさつ回り
の2つです。
それぞれ紹介していきます。
退職手続き
退職手続きはしっかりと施設長など人事権のある人と、対面で確認しあいながら進めるようにしましょう。
退職することが決まった施設で時間をとって手続きするということは面倒なことなのですが、確認不足で損をすることもあったりするため注意が必要です。
退職手続きでは、基本的に以下のようなことをします。
・退職届の記入
・制服やロッカーキーなど貸与物の返却
・業務の引き継ぎ
・保険証の返却
基本的には手続きを進めてくれる人から説明があります。
ただ、社会保険喪失証明書の到着日と有給消化の残日数については、ほとんどの場合で説明がありません。
少し細かく紹介しますので、説明が無い場合はこちらから確認するようにしましょう。
社会保険喪失証明書の到着日確認
退職手続きの際に、しっかりと確認しないといけないことは、社会保険喪失証明書の到着日です。
社会保険喪失証明書とは、「今の施設の社会保険の加入資格を失っている状態です」ということを証明する書類です。
社会保険は所属している施設でしかかけることができないものなので、退職することになった際は社会保険を脱退することになります。
転職先が決まっている場合は、転職先で社会保険に加入するために社会保険喪失証明書が必要です。
転職先が決まっておらず、国民健康保険に加入する際も社会保険喪失証明書が必要です。
いずれにせよ必要な書類ですから、なるべく早く到着するように発行依頼をして到着目安を確認しておきましょう。
一般的な会保険喪失証明書の到着目安は、退職後10日~14日程度です。
有給残日数の確認と有給消化
退職手続きの際に、確認しなければいけないこととしてもう1つ。
有給残日数の確認と有給消化です。
6ヶ月以上在籍しており、要件を満たしていれば有給休暇は付与されます。
適時、有給休暇を消化することになっているのですが、毎年のように全てを消化するというのは、忙しい介護業界では難しいことだと思います。
多くの方は、有給休暇をうまく消化できないまま退職に踏み切ることになると思いますので、退職相談の際に有給休暇の残日数を確認してもらいましょう。
そして、残っている有給休暇を最後のシフトに有給休暇として組み込んでもらいましょう。
たまに、「有給休暇をまとめて消化することはできない」などと言われ、消化しきれずに退職したということを聞きます。
これは施設側が間違いであり、有給休暇を消化することは労働者としての権利ですので、有給休暇を消化して退職することは可能なのです。
もし、有給休暇を消化しきれずに辞めることになっていまいそうだという状況の方がいれば、一度詳しい方に相談することをオススメします。
あいさつ回り
退職手続きがうまく進み、「残る勤務をしっかりとやりきるだけだ」という状態になれば気分は少しすっきりしますよね。
そんな中でも忘れず行いたいことが、あいさつ回りです。
今までお世話になった方へしっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。
介護施設では、夜勤を含めいろいろなシフトで働いている人がいることから、全員にあいさつをすることは難しいと思います。
そういった場合、最低でも施設長・介護主任・介護リーダー・同じフロアの職員にはあいさつをするようにしましょう。
その際に、値段に関わらず菓子折りなどがあればベストです。
介護業界は入れ替わりが激しい業界ですので、いつ・誰と一緒に働くことになるかわかりません。
いつ・誰と・どこで一緒になるかわからないので、最後をしっかりしておくことは重要ですね。
転職先が決まっている人
転職先が決まっている人は、退職するためのやることと、入社のための準備が重なる期間は大忙しですよね。
退職する施設に迷惑をかけずに退職することも重要ですが、今後働くことになる転職先でいきなり失敗するわけにはいきません。
1つ1つ確実に完了させるポイントがありますので、紹介しますね。
入社手続き
転職先に入社するためには、入社手続きが必要です。
入社手続きはおもに、以下のようなことをします。
・各種書類(雇用契約書・誓約書・社員登録票など)の提出
・健康診断結果の提
・制服採寸
入社時って、提出する書類がとにかく多くて、内容もややこしいものが多いですよね。。。
書類不備や、提出物が準備できないことなどを防ぐために、転職先が決まったらなるべく早くに入社手続きをしてもらうように転職先に依頼しましょう。
施設によっては、給与振込口座を指定しているところもあるので、入社日ぎりぎりになると準備できないものが出てくるケースがあります。
そうなると、入社前から入社直後にかけて大変になってしまうので、時間的に余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
わからないことがあれば、転職先の担当者に聞けば教えてくれるので、不安なことがあればすぐに確認するようにしましょう!
備品購入
転職先の入社手続きが終われば、働くにあたって必要なものを購入しましょう。
メモや筆記用具は新しくするほうが良いですね。
制服がある施設はいいのですが、服装自由の施設では細かい取り決めがないかということも確認したうえで、適した服装を購入する必要があったりもします。
また、上履きに関しても、色の規定がある施設もありますのでしっかり確認しておきましょう。
転職先が決まっていない人
退職手続きが完了しても転職先が決まっていないという方もいると思います。
転職すると決めている方については、急いで転職先を決定する必要がありますが、すぐには転職しないということを決めている方もいます。
その場合は、とりあえずは失業給付金を受給することをオススメします。
失業給付金受給の申請
ゆっくりと転職先を探したい、事情があってすぐには転職できないなどで、転職先が決まっていない人は失業給付金受給の申請をしましょう。
失業給付金とは、再就職できるまでの期間の収入を、国が支援してくれるというものです。
しかし、失業給付金を受給するには2つの条件があります。
(1)雇用保険被保険者として、離職日から遡って2年の間に最低12ヶ月以上働いた期間があること。
※特定受給資格者(破産など会社都合他による退職)、又は特定理由離職者(自身の病気、妊娠出産、セクハラ他による退職)は、離職日から遡って1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
(2)ハローワークにて求職の申し込みを行ない、再就職(労働)の意思があり、能力もあるのに就職できない状態であること。
上記を満たしていれば受給することができますので、ハローワークで申請をしましょう。
ただし、失業給付金を申請したからといって、すぐに受給できるということではありませんので、ご注意ください。
自己都合による退職の場合は、申請から受給まで最短でも3ヶ月程かかります。
ハローワークに問い合わせることでしっかりと説明を受けることができるので、確認しながら進めていきましょう。
転職活動の開始
失業給付金を受給するためにも、転職活動をすることは必要です。
転職活動をする際は、ハローワークや求人サイトでのエントリーなど、ご自身で活動することと並行して、紹介会社や口コミサイトを使うことをオススメします。
さまざまな方法で転職活動を進めることにより、多くの情報が入ってくることは大きなメリットになります。
また、自分のスタイルに合う仕事探しができるので、いろいろな方法を試してみていただきたいですね。
それぞれの仕事の探し方のメリットとデメリットなどをまとめた記事もありますので、こちらも参考にしてみてください。
気持ちをリセットをしよう
退職手続き・入社手続きが終われば、あとは入社当日を迎えるのみですね!
みなさん忘れがちなのが、「気持ちをリセットする」ということです。
同じ介護業界に転職するんだから気持ちのリセットなんて不要なのでは?と思われる方もいると思います。
気持ちのリセットは簡単で、かなり効果のあるものなのでぜひ試してみてください!
それは、「前は前、これからはこれから」と自分に言い聞かせることです。
入社早々に「前の施設では○○だった」などと、前の施設と今の施設を比較するケースがよくあります。
一度そういう風に思ってしまうと、常に前の施設と今の施設を比較してしまい、すべてに対して今の施設が悪く見えてしまったりします。
入社前までは今の施設が良いと思っていたのに、そう考えてしまうようになると、かなりもったいないことですよね。
教え方や環境、設備、待遇、取り組み方などすべて前の施設と今の施設は違って当然で、そもそも比較するようなことではないのです。
まとめ
今回は、介護職の方が退職前・転職前にやるべきことを紹介しました。
退職する施設、転職する施設とのやり取りが発生するのはもちろんのこと、社会保険の手続きなど裏側では色々な機関とのやり取りも発生しています。
複雑なことも多く、ミスすると面倒になることも多いので、1つ1つ丁寧に確認しながら進めていく必要があります。
迷ったときや不安なときは、専門の担当者に確認するようにしてください。
スムーズな手続きで、良い転職活動にしましょう!