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今回は、介護士として働く男性に向けて、介護求人を選ぶポイント・見方を紹介していきます。
介護施設で働く男性が増えてきたとは感じるものの、依然、女性の就業比率が高い介護業界。
女性介護士に向けた福利厚生(産休育休の取得など)が整っている一方で、男性介護士が長く働くための制度が整いきっていないことが実情のように感じます。
ですが、求人を見るポイントをしっかりと覚えておけば、良い求人を見つけることができる可能性が高まります。
細かいポイントも解説していきますので、男性介護士のみなさんが少しでも良い職場で働き、理想のキャリアを歩むための参考になれば幸いです。
男性介護士の就業状況
まずは、介護業界における男性の就業状況を見ておきましょう。
厚生労働省が平成31年3月に出しているデータにおいて、施設介護職員として働く男性は全体の24%、訪問介護職員として働く男性は全体の9.5%となっています。
いずれの形態においても、女性の比率が圧倒的に高いということがわかります。
また、男性介護士を年代比で見ると、30代までが約56%と大半を占めています。
以降、40代・50代と年代が上がるにつれて比率が下降していきます。
年代が上がるにつれて比率が下降するのは、職位が上がり介護士としては働かなくなったということや、収入面を考えて別業界への転職ということが考えられます。
介護職の平均年収(男性・女性・年代別)
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上)で検索したところ、男性介護士の数字は以下となります。
これは全国平均の数字ですので、お住まいの地域による変動や、就業先の法人規模による変動があります。
ちなみに、同様の条件で女性介護士で検索すると、以下のようになります。
男性介護士のほうが女性介護士よりも年収が高いのは、女性は家庭事情などから非常勤(アルバイトやパート)で働くことが多いためと考えられます。
補足として、世代別の年収も見ておきましょう。
年代別平均年収
男性介護士は35歳~39歳で年収が最大化し、40代を境に下降線をたどっていくという点に特徴があります。
一方で、女性介護士は20代から64歳までで年収290万円~328万円で収まるという傾向にあります。
男性介護士の年収が40代以降は下降していくということは、男性介護士の就業状況でもお伝えした男女比率とリンクする部分もあります。
30代以下の若い世代や独身の男性は、介護士としての収入で生活をしていくことができ、将来的にも年収がアップする可能性があります。
しかし、年収がアップしきった40代以上の男性介護士は、管理職などの別キャリアでの就業、他業種への転職をすることがあります。
介護士としての収入では家族を養うことが難しいと判断することなどが理由です。
逆に、他業種での早期退職などで、無資格未経験の状態で介護士として働き始める方もいるため、40代以降の男性介護士は相対的に年収が下降していくこととなります。
これら2つの状況が相まって、40代以降の男性介護士の比率と平均年収が下がっていくのです。
では、どのようなポイントを見ることで待遇面がアップしたり、キャリア形成をしていくことができる求人だと判断できるのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。
介護職の求人の見るポイント(待遇・給与面)
男性介護士の就業状況や平均年収などを把握できたところで、実際にどのようなポイントに気をつけて求人を選んでいくべきなのか?をお伝えしていきます。
まずは、生活と切り離すことができない待遇面から考えていきましょう。
長く介護業界で勤めるためには、当然のことながら待遇面は重要です。
しかし、高待遇だと思って入社したものの、すぐに転職することになるという方が多くおられます。
そのような方々の転職理由のほとんどは、以下のようなものです。
・思っていたよりも賞与が低かった(計算方法までしっかりと確認していなかった)
・昇給がほとんど無い
・残業込みの月給表記だったので、残業が無ければ平均以下の給料
こういったことが無くなるよう、求人を見る際の落とし穴のようなポイントも解説していきます。
月給が高いかどうか(介護求人の見方①)
待遇面で最も重要で、最も確認不足が多いのが、「月給」についてです。
「月給」といっても、基本給・資格手当・夜勤手当・処遇改善手当など、たくさんの手当が含まれたうえでの「月給」となります。
しかし、「月給」はその法人や施設によって、または公開されている求人によって考え方が異なることが多いのです。
例を1つ記載します。
【求人A:月給23万円~】
月給=基本給160,000円+処遇改善手当30,000円+夜勤手当5,000円×5回+資格手当10,000円+業務手当5,000円
別途手当=家賃手当10,000円、交通費全額支給
【求人B:月給20万円~】
月給=基本給150,000円+処遇改善手当30,000円+資格手当10,000円+業務手当10,000円
別途支給=夜勤手当10,000円×5回、家賃手当10,000円、特定処遇改善手当、扶養手当、経験手当、交通費全額支給
この例では少し極端に記載しましたが、「月給」という部分だけで比較すると、求人Aのほうが高いです。
しかし、よく見てみると月給の中身が求人Aと求人Bで異なるということ、さらには求人Bのほうが夜勤手当が高くその他手当も厚いので、結果的に求人Bのほうが月給が高くなることがわかります。
求人が2つ並んでいれば比較できますが、ほとんどの場合は「その求人がどうか」で判断してしまうことになるため、思っていたのと違うとなるケースが多いのです。
思っていたよりも給料が低い!とならないためにも、以下ポイントを覚えておきましょう!
【ポイント①】
「月給」は求人元によって考え方が違うことがあるので、【月給○○円】で判断するのではなく、内訳を見てしっかりと計算するようにしましょう。
【ポイント②】
金額が書かれていない項目については、エントリー時や面接時にしっかりと確認しましょう。
昇給率はどの程度あるか(介護求人の見方②)
では次に、昇給率についてです。
転職をする際に、月給や年収を気にすることは当然だと思いますが、昇給率まで気にして転職しようとしている人はあまり多くありません。
せっかく長く働こうと決めて転職した施設で、頑張って働いても少ししか給料アップが無ければ、モチベーションは年々下がっていきますよね。。。
逆に、昇給率が高く、頑張れば頑張った分だけお給料が上がっていくとなったらどうでしょうか?
長い間働けそうな気がしてきますよね。
介護業界における昇給率は、おおよそ1~2%が相場です。
昇給実績として、昇給率で記載しているところや、具体的な昇給額を記載しているところなど、求人よって異なります。
1つ例を記載します。
【例1】基本給150,000円・昇給率1%
【例2】基本給150,000円・昇給額1,000円
※「1」と「1,000」を見たときに、例2)のほうが高く感じてしまうものですが、実際は1%(1,500円)のほうが高くなります。
「月給」と同様に、1つの求人だけを見るのではなく、複数の求人を見て比較しなければなりません。
【ポイント①】
昇給率(額)で計算し直したときに、どちらのほうが高くなるのかしっかりと見ましょう。
【ポイント②】
昇給すると、給料のどの部分が上がるのかを確認しましょう。
同じ1,000円の昇給でも、基本給が上がるのと、基本給は据え置きで手当が1,000円上がるのとでは、賞与の支給額で差が出ます。
賞与はどの基準で支給されているか(介護求人の見方③)
次に、賞与についてです。
多くの人は、「賞与○ヶ月」ということに注目して求人を見ています。
しかし、以下のようなケースもあるので、単純に倍率が高いから賞与が高いとも言えないのです。
【例】
賞与4ヶ月×基本給120,000円=480,000円
賞与3ヶ月×基本給180,000円=540,000円
また、「基本給」の考え方が特殊なケースもあるため要注意です。
基本給180,000円と記載があっても、「基本給=職能給+経験給」としていて、職能給にしか倍率をかけないという場合もあるのです。
賞与の計算方法までは、求人に記載されていることは少ないため、面接時や労働条件の通知時にしっかりと確認しておくようにしましょう。
それでは、ポイントをまとめます。
ポイント①
倍率が高いから高い賞与をもらうことができるというわけではない。
ポイント②
倍率は、どの部分にかかるのか(計算方法)を確認する。
介護職の求人で見るべきポイント(やりがい・キャリアアップ等)
生活をしていくうえで、重要な待遇面についての見るべきポイントをお伝えしてきましたが、お給料のためだけに長く働くということも現実的には難しいと思います。
そこで重要になってくるのが、やりがいや成長です。
やりがいや成長を感じながら働くことができれば、長い目で考えたときには、より良い条件の就業先に転職したり、1つの職場でどんどん給与を上げていくということも可能になるでしょう。
これから、待遇以外の見るべきポイントをお伝えしていきます。
成長性のある法人(施設)かどうか(介護求人の見方④)
待遇以外で見るべきポイントの1つ目は、成長性のある法人(施設)かどうかです。
長期的にキャリア形成をしていくうえで非常に重要なポイントであるため、しっかりと確認しておきたいところです。
成長性のある法人(施設)であるかどうかは、法人(施設)ホームページの「沿革」などで確認するようにしましょう。
成長性があるかどうかの基準の1つは、「10年に1施設くらいのペースで新規施設をオープンしているか」ということです。
約10年に1施設なら平均的な成長、5年以内に1施設以上なら急激な成長、10年以上に1施設以下なら停滞してしまっているか成長意欲が無いということになることが多いです。
成長している法人(施設数が増えている法人)は収益が大きくなるので、その分給料アップの可能性が高まります。
また、異動や昇格などのチャンスに恵まれる可能性も高くなります。
キャリアアップやキャリアチェンジができる可能性があるかどうか(介護求人の見方⑤)
待遇以外で見るべきポイントの2つ目は、キャリアアップやキャリアチェンジができる可能性があるかどうかです。
男性介護士が退職した理由として、最も多いのは「自分の将来の見込みが立たなかったため」です。
26.9%もの人が、その理由で退職していると公益財団法人介護労働安定センターが発表しています。
ここで重要なことは、しっかりと生活するための収入ももちろん大切であるものの、将来的にも昇給や昇格、キャリアチェンジが見込める職場であるのか?ということです。
仮に、「介護現場であと3年頑張れば介護主任になることができる」というイメージや、「介護現場で頑張っていれば法人の採用担当者になるチャンスがある」というイメージなどがあればどうでしょうか?
「自分の将来の見込みが立たなかったため」という理由で退職する人は減りそうではありませんか?
また、キャリアアップやキャリアチェンジが無いということは、規定の昇給しかないということになります。
頑張っても新たな仕事にチャレンジできず、給料も大して上がるわけでもないとなると、長く働くことは厳しいでしょう。
それくらい、キャリアアップやキャリアチェンジができる可能性があるかどうかは大切なポイントなのです。
濃い経験を得ることができるかどうか(介護求人の見方⑥)
待遇以外で見るべきポイントの3つ目は、濃い経験を得ることができるかどうかです。
なかなかお給料が上がらない、法人(施設)としての成長性が無いという場合でも、濃い経験を得ることで将来につながることがあります。
例えば、、、
・離職率が高かった施設で必死に頑張ったこと
・医療依存度の高い入居者ばかりの施設で、ナースと協力して働き、医療ケアの補助ができるようになったこと
・PT、OT、STなどの他職種とのチームケアを実践したこと
・小さい事業所で管理者の右腕として働いたこと
など、ただただ介護士として働いていたわけではないという経験があれば、かなりの強みになります。
もし、今の職場で将来の見通しが立たなかったとしても、何かしら経験できることはないか?次の職場で強みなりそうなものはないか?ということを考えながら取り組むことが重要です。
まとめ
今回は男性介護士に向けて、求人の見るべきポイントをお伝えしてきました。
男性介護士は、40代を境に待遇・給料が悪くなっていきます。
そうならないためにも、「待遇面」と「待遇面以外」で事前に見ておくべきポイントをお伝えしました。
また、求人を見るときは、「その求人が気にいるか」だけで見るのではなく、複数で比較して検討することが重要です。
今回の内容がきっかけとなり、就職してみたら条件や環境が想像したのと違っていた、、、となってしまうことが減ることを願っています。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。